先日、雨の桜を撮影してきた。
晴れの桜は、なんとなくもう撮り飽きていた感じがあったが、窓の外を見てふと思いつき、雨の日の桜を撮ってみることにした。
数年前、雪の日の桜を撮らなかったことをすごく後悔している。コロナウイルスが流行りはじめたときのことで、家の外に出てはいけないと強く思っていた。
近所の公園へ行ったが、傘をさしながらの撮影は、いろんなところに気を遣わなければならず大変だった。途中から自分自身が雨に濡れることは厭わなくなっていた。
透明なビニール傘越しに撮影するのがたのしかった。
全体がやわく白みがかることで鮮やかさが抑えられ、さらに輪郭もやわらかくなっている。撮影後の編集をまったく加えない状態でこんなに好みに撮れるのかよ〜とうれしくなった。
いまにも落ちそうな雫、水たまり、波紋、しぶき、幹に張りつく花びら、水たまりのなかで集まる花びらの群れ。
針のように細い線となって映った雨も撮れてうれしかった。雨の日の撮影は初めてだから、とにかくいろんなことが新鮮。
約1時間の撮影で460枚。雨のなかでさすがに寒くなってきて体は震えるし手が悴んできたので切り上げた。帰ってすぐにあたたかいシャワーを浴びた。
またこんど雨の日に出かけていろいろ撮れる日をたのしみに思う(雨に濡れるし寒いし風邪ひく可能性もあるので、ひとにはあまりおすすめできないけれど)。
水の写真をもっと撮るべきだよね。
ただひと度見しスコールが忽然と身の内側に降り始めたり
『稲葉京子全歌集』稲葉京子(短歌研究社 2018)「椿の館」雨の界
2023-03-28