Tag: 2023

’23-12 書見台

歌川国貞の「江戸名所百人美女」の初心者向け解説本『絵解き 江戸名所百人美女 江戸美人の粋な暮らし』(淡交社)を読んでいると。

「妻恋稲荷」に房飾りのついた見台が出てきた。そこまで詳しくない自分にとっても見台・書見台は特に珍しいものではない。けれど「房飾りのついた」と言われると、そういえばそこまで細かく見ていなかったことに気づいた。

そこで調べてみると、コトバンクで以下の記述を発見。

❝ 一般に浄瑠璃系の見台は装飾が凝っており、なかでも義太夫(ぎだゆう) 節の見台は漆塗りで形も大きく、金蒔絵が施され、房飾りもついている。

読んでいる「絵解き 江戸名所百人美女」の解説にも、描かれた女性の「職業は浄瑠璃を語る娘義太夫です」とあった。
三味線もだいすき。見ているだけだけれど、いいなあといつも思う。

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’23-11 サイト名

このサイトは、2020年5月1日に「水紋文字」というサイト名で開設しましたが、諸事情により、2023年3月12日からサイト名を「水蝕字跡」に変更しております。

個人が運営するちいさなサイトですが、これからもどうぞよろしくお願い致します。☺

2023-11-20

選ばなかったもの

私が今まで選ばなかったもの。

花を撮影するときに発生する「この花を撮る、この花は撮らない」という選択。
撮影対象として選んだ花と、選ばなかった花。
私はなぜその花を選ばなかったのだろう。選ばなかった理由はなんだっただろう。
土や泥が付着しているから?
花弁が揃っていない、欠けているから?
花粉ならば花びらに付着しても気にならないのに、土や泥だと気になるの?
散って地面に落ちた花びらは、靴に踏まれて、土だらけになって、水分が抜けて丸まって、そのような状態の、でも花びらであるそれらを、撮影してこなかったのはなぜだろう。

無意識下で選り分ける、その判断を下すことをさせた、奥底にあるもの。それと向き合うことが今の自分の、課題のひとつなのだと思う。

私が選んでこなかったもの。

2023-11-19

’23-11 動画

動画撮影は、自分には関係のないものとずっと思っていた。

ミラーレスのカメラやiPhoneに動画モードが付いていても使う選択肢は頭になかったし、MacでiMovieのアプリアイコンが目に入ると「なんかジャマだなあ、使わないのに」と思っていた。
けれど、「Vlog」なるものを友人が教えてくれて(Blogを文字の「ログ」とするなら、Vlog(Video log)はその動画バージョンと理解している)、そして実際に見せてくれて、なんとなく「自分もやってみようかな」と思う瞬間が発生するようになり、いくつか作成した。初心者なので短いものしか作れないが、instagramに投稿した(vlogというより、ただの短い動画と呼んだ方がふさわしい気がする)。

新しいことをやっているからか、結構楽しさがあり(!)、これからは動画も(思い立ったら)作ってみようと思う。そこで心配になるのがデータ容量問題だ。自分の活動は文字がメインなので、心配することは今までほとんどなかった。写真については、保存方法に一時期かなり悩んだが、バックアップの方法を自分なりにすでに決めたので、今はもう心配はほとんどない。のだけれど、これが動画になり、数をたくさん作るならば、保存場所に本当に苦労すると思う。なので、動画編集に嵌まりたくない……(コントロールできるものではないけれど……)。

先日作った動画は、1分30秒で221MBだった。自分の写真は大体3MB前後なので、たった1分半で写真74枚分か。

プラットフォームにアップロードしたら自分の端末からはデータを削除する、ことは自分はしたくない。ので、やっぱり、USBとDVDになるかな。いうまでもないことだが、もちろんそれらも永遠ではない。

2023-11-03

’23-10 壁紙

OSをアップデートしたら、壁紙やスクリーンセーバに追加がたくさんあったようなので、気分転換に変えてみることにした。

今までは、Taylor Swiftの曲、"ivy"のyoutube動画のスクリーンショットを使っていた。
隠れ家のような小さな石造りの家、その壁は蔦にひどく覆われている。蔦は家そのものを蝕んでいるようにも見える。
画面全体は、広がる霧にやんわりと浸されることで、静けさを湛えた仕上がりになっている。

新しい壁紙は、水中のケルプ(ダーク)にした。
薄暗くて森の中みたい。海藻が柳みたい。そして横切る魚たちは、逆光によって影みたいに仄陰り、幻想的な感じがする。

スクリーンセーバは、パタゴニアの湖を選んだ。
いつか旅行してみたいなあ、とぼんやり思っているパタゴニア。ツアーとかあまりないのだけれど。
マーブル・カテドラルなどの呼び名(marble catedral, marble cave, Catedral de Mármol)がある、海蝕によってつくられた洞窟を、写真ではなくこの目で見ることができたらなあと思う。
ボートを使わないと行くことができないらしいし、天候の影響もあるしで、難しそうだ。

海蝕によってできた洞窟や岩の写真を眺めることが好きで、ぼうっと流し見ていた中の一枚として、マーブルカテドラルも出会ったのだった。

以下のリンクは、wikimedia commonsより、マーブル カテドラルとその付近の写真が100枚以上あるページなので、興味のある方は見てみてください。https://commons.wikimedia.org/wiki/
Category:Catedral_de_Mármol →リンク

2023-10-01

’23-10 コスモス

コスモス畑で写真を撮ってきました。

まとめたページは作成中です。
以下は、何枚かをピックアップしたものです。

撮りながら、なんとなくのテーマとして浮かんできたのが「見させない、よく見えない」というものでした。すべての写真にそれを反映させたわけではないのですが。
こんな風にテーマが自然と浮かんできたのは初めてでした。今までは撮るのに精一杯だったので……。

透けるほど薄い花片たちが重なって作られる影や繊細な花脈は、撮影を導いてくれているようだなんて思えて、いや実際は勝手に誘われているだけなのですけれど、でもそう感じられたのです。

前回コスモス畑でがんばって撮影したのは2018年の10月25日で、そのときは「こうかな? こうすればいいのかな?」という感じの実験状態だったなあ、と思い返していました。
前回のページは作成中です。

コスモスをがんばって撮るのはたったの2回目、ですがテーマが自然と浮かんできたのは、2014年にカメラとレンズを買ったときから考えれば初めてだったので、こんなやり方の自分でも少しは成長したのかな、なんて感じてしまったのでした。

2023-10-19

’23-10-28

言葉を「自分のものにする」のではなく、
言葉と対話して、言葉のちからを借りる。
そうやって詩を書いていく。

漫画『ブルーピリオド』9巻で、モザイク実習の話があり、そのときに以下のセリフがあった。

❝ 絵に石を使うんじゃない
石と対話し自然の力をお借りするんだ

創作に向かう態度において、すごく大切なことだと思う。
お借りする、それを経て「作る」がある……のかな。

2023-10-28

’23-10 山梨県立美術館

母と父と甲府へお墓参りに行ったとき、山梨県立美術館にも寄ることができた。
コレクション展Aではミレーとバルビゾン派の作品を、コレクション展Bでは山梨ゆかりの作家たちの作品を、それから「テルマエ展・お風呂でつながる古代ローマと日本の展示」も見た。

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’23-07-03

「ひとりで抱え込まず、誰かに話して相談してね」と言われて初めて、この状態を「ひとりで抱え込む」と表現し得るのだと知る。

自分の話をどこまでしても自分はいいのか・相手は許容するのか、あまりわからない。相手は、こんな話を聞かされても反応に困るかもしれない、と考えるとどうしても。

そして、知人の話を、どこまで聴こうと踏み込んでいいのかわからない。何があったの、と聞いていいことなのかどうかわからない。相手が、言語化して外に出す労力。話したくない場合の断る労力。そして私は話すに値する人物?

’23-05-28 共感

昔、子どものころ傷ついた自分に、今、大人になった自分が共感する。共感が痛みに沁みこんでいく。
私に共感できるのは私だけのような気がしてくる。

絵本など子ども向けの本を読んでいると、子どもの頃の嫌な経験を思い出すことがある。
嫌な思いをした子どもだったときの自分に対し、慰めるのでも抱きしめるのでも励ますのでもなく、ただ共感すること。

自分に共感できるのは自分だけだと、私には感じられる。

それでやっと分かった、「共感」というものが。表現できる言葉として積極的に選び取れるような「共感」が。共感という言葉がぴたりと嵌まるような感覚が。

’23/04/16

ブルーピリオドの村井八雲さんのキーホルダーふたつ。お気に入りで、いつも机の上に置いてある。

ブルーピリオド展で購入したA5ファイル

’23-03 雨

先日、雨の桜を撮影してきた。

晴れの桜は、なんとなくもう撮り飽きていた感じがあったが、窓の外を見てふと思いつき、雨の日の桜を撮ってみることにした。

数年前、雪の日の桜を撮らなかったことをすごく後悔している。コロナウイルスが流行りはじめたときのことで、家の外に出てはいけないと強く思っていた。

近所の公園へ行ったが、傘をさしながらの撮影は、いろんなところに気を遣わなければならず大変だった。途中から自分自身が雨に濡れることは厭わなくなっていた。

透明なビニール傘越しに撮影するのがたのしかった。

全体がやわく白みがかることで鮮やかさが抑えられ、さらに輪郭もやわらかくなっている。撮影後の編集をまったく加えない状態でこんなに好みに撮れるのかよ〜とうれしくなった。

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